障害者手帳という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?障害者手帳とは「ある一定の障害をお抱えになっている方に交付される手帳で3つの種類があります。『身体障害者手帳』『療育手帳』そして今回ご説明する『精神保健福祉手帳』の3つです。このページでは、この中の『精神保健福祉手帳』について簡単に学んでみましょう。
1精神保健福祉手帳とは
この手帳は「一定程度の精神障害を抱えられている」ということを認定するものです。この手帳を提示することで様々なサービスを受けることができます。自立や社会参加の促進を図るために設けられました。
対象は精神疾患(発達障害・薬物中毒なども含む)をお抱えの方で、それにより長期に日常生活または社会生活への制約が出ておられる方です。この手帳は通院を初めてから6ヶ月経過すると申請可能なので「初診から半年経ったけどまだ治療は続きそうだな〜。生活もしにくいな〜」と感じたら主治医に相談してみましょう。
なお知的障害はあるけれども精神疾患がない方は、精神保健福祉手帳ではなく『療育手帳』を受けることができます。知的障害をお持ちで精神疾患もお抱えの方は両方の手帳を受けることができます。
2 精神保健福祉手帳のメリット
自立支援医療制度のメリットが「受診料の窓口負担軽減」が主であるとしたら、精神保健福祉手帳のメリットは「暮らしの中での負担軽減」と言えるのではないでしょうか。
以下に精神保健福祉手帳で受けられるメリットについて簡単にまとめてみましたが、サービス内容は申請者の状況によって決定される『等級』や、お住まいの『自治体』、利用する『事業者』によって異なります。詳しくは管轄の市区町村ウェブサイトなどでご確認ください。
<メリット>
- 税金の控除(所得税・住民税・相続税・自動車税など)
- スマートフォンの利用料金割引
- 上下水道料金の割引
- 公共交通機関、施設利用料の割引
- NHKの受信料免除
- 就労の際、障害者雇用枠への応募が可能に
- 生活保護の障害者加算
- 1級の場合は「特別障害者手当」(毎月2,7000円ほど支給)、「心身障害者医療費助成制度」(健康保険の負担金を一部助成。)の申請が可能に。ただし1級というのは日常生活が一人では行えず介助者が常に必要な状況ですのでかなり重い症状をお持ちの方です。
- 通所交通費の助成
- 福祉手当
また、精神保健福祉手帳を申請することが勤務先などに通知されることなどはありませんので特に大きなデメリットに関してはないものと考えています。有効期限は2年間(2年ごとに更新が必要ということ)ですので、その手間などぐらいでしょうか。診断書のお金がかかったとしても、いろいろな割引でマイナスにはならないと思います。
3 申請の方法
治療を開始して半年以上経過しており、この制度に関してお気になられました方はまずは主治医と相談してみましょう。申請後は等級認定審査もありますので、妥当性に関してきちんと確認しておくことは大切です。
「申請しましょう。」となりましたら、必要な書類を集めましょう。
提出に必要なものは、①申請用紙②診断書③写真 ④マイナンバーカード(番号通知カード)⑤身元確認書類です。
また精神障害による障害年金を受給されている方は、わざわざ診断書を取らなくてもその証書の写し等で診断書の代用をすることが可能です!
では、申請方法のご説明です。診断書で申請する方法と障害年金証書で代用する場合と2つご説明しますね。
<『診断書』で申請をする方は・・・>
- 手帳を申請することとなりましたら、提出書類の用紙をいただきに、お住まいの市区町村役所(場)の障害福祉を担当する課に行きましょう。役所内での場所が分からなかったら総合受付の方に「精神障害者保健福祉手帳の申請に来ましたが、障害福祉を担当する課はどちらでしょうか?」と聞いてみましょう。(市区町村によってはホームページからダウンロードできる場合もあります)
- 担当課で『申請書』と『診断書』の指定用紙をいただきます。(障害年金受給者の方で年金証書の写し等で申請する方は診断書の指定用紙は不要ですね。)
- かかりつけの病院で診断書の記載依頼をしましょう。(診断書は大切な書類であり、作成に1週間以上かかるところがほとんどです。早めに依頼しましょう。費用は各病院で違いますが、参考までに筆者の知っている医院では4,400円でした。)依頼の際は、受付さんに診断書が出来上がったらお電話をいただくか、定期受診時の受け取りでいいのか等の打ち合わせをしておくとスムーズです。
- 診断書完成を待っている間に縦4cm×横3cmのご自身のお写真を準備します。手帳に貼る用のものです。
- 『申請書』に必要事項を記入してしまいましょう。
- 指定用紙記入された『診断書』が出来上がり手元に届きましたら、『申請書』『診断書』『写真』『マイナンバーカード(ない人は個人番号カード)』『本人確認書類』を持って、用紙をいただきに行った役所の担当課へ申請に行きましょう。なお、診断書は申請日からさかのぼって3ヶ月以内のものでなければ窓口で受け取ってもらえないため、診断書が完成したら早めに申請しましょう。
- 申請→審査→結果まで2ヶ月ほどかかります。
- 手帳が完成しましたら「有効期限」日ををカレンダーにチェックしておきましょう。
<『診断書』ではなく『障害年金証書』等で申請をする方は・・・>
準備するものが若干異なります。『申請書』『写真』『マイナンバーカード(作成していない方は個人番号カードカード)』『身元確認書類』までは同じですが、診断書の代わりに『年金証書の写し』『年金の振込通知書』『障害種別等級照合の同意書』が必要です。
4 有効期限と更新
有効期限は「手帳交付日より2年後の日が属する月末まで」となっています。
更新は有効期限の3ヶ月前より可能です。必要書類は申請時のセットに加え「現在の手帳の写し」が必要です。この時に改めて等級の審査がなされ、等級が上がることもあれば「非該当」となることもあり得ます。
5 自立支援医療制度との精神保健福祉手帳の期限を合わせよう
自立支援医療制度もご利用中の方は、お住まいの市区町村役場に相談することで「精神保健福祉手帳」と「自立支援医療制度」の更新時期を同じ時期に調整していただけます。手間暇が減り、予定も立てやすくなるのでおすすめです。