就労継続支援事業所(A型、B型)とはなんだろう?
就労移行支援事業所、就労継続支援事業所(A型・B型)・・・。似ている言葉ですが、違いをご存知ですか?
このページでは就労継続支援事業所(A型・B型)と、就労移行支援事業所との違いについて簡単にまとめてみたいと思います。
就労継続支援事業所とは?
障害による困難のため、一般の企業に雇用されることが困難な状態だけれども、ご自身のやれる範囲で「働きたい。」「働いてみたい。」という気持ちをお持ちの方のための事業所です。
ゆるやかな就労機会やその他イベント活動、知識や能力向上のための訓練を提供してくれます。障害や病気に理解のあるスタッフが常駐でサポートしてくれることも心強いですね。
就労継続支援事業所は大きく2種類に分けられます。
- 雇用契約を結んで利用する「A型事業所」アルバイトの一歩手前のような場所。
- 雇用契約を結ばないで利用する「B型事業所」自分のペースで通える場所。
お仕事をする場所なのですが、サポートしてくださるスタッフさんや場所などの人件費もあるため「利用料」が必要です。利用料は「通所日数」「世帯収入」によって変わり、世帯収入による月額の負担上限もあります。以下が各世帯の月額負担上限額です。(A型B型ともに)
- 生活保護世帯‥0円
- 市町村民税 非課税世帯‥0円
- 市町村民税 課税世帯 所得割16万円未満‥9,300円
- 市町村民税 課税世帯 所得割16万円以上‥37,200円
では、早速それぞれの特色をみていきましょう。
就労継続支援事業所A型
障害などにより一般企業での就労が困難ではあるものの、雇用契約に基づく就労が可能な方を対象とした事業所です。
利用時に雇用契約を結びますので「社員」扱いとなります。各都道府県ごとに決められている最低賃金以上の給与の支払いがされ、労災・雇用保険の加入ができます。利用期間の制限はありません。
就労時間は6時間程度、週6出勤のところが多く、仕事内容は軽作業を主とする会社が多いです。
ちなみに就労移行支援事業所との掛け持ち利用はできません。なぜなら就労移行支援事業所は既に働いている人は利用できないからです。「A型に通うことでスキルや自信もついてきた。一般企業への就労に向けて就労移行支援事業所に変えてみようかな?」と思われた方は、A型を一度辞めて目的の就労移行支援に「切り替える」手続きをすれば、就労移行支援事業所を利用することも可能です。
就労継続支援事業所A型の対象者
- 利用開始時に満65歳未満の障害をお持ちの方
- 就労移行支援事業所を利用したが、企業などの雇用に結びつかなかった方
- 就労継続支援事業B型を利用していたが、余力が出てきたのでスキルや収入をアップさせたい方
- 特別支援学校を卒業して就職活動を行なったが、企業などの雇用に結びつかなかった方
- 企業などを離職した方など、就労経験はあるが現在は雇用関係がない方
事業所就労までの流れ
- 事業所へ直接、またはハローワークや障害者生活支援センターを通じて申し込む。
- 事業所によって異なるが、ハローワークで紹介状を発行してもらったり、履歴書をご自身で準備したりと必要書類を集める。
- 見学・実習・面接(事業所によって順番は異なります)
- 面接後採用が決まりましたら、お住まいの市区町村役場の障害福祉窓口へ行って「障害者福祉サービス受給者証」を申請します。
- 後日、受給者証がお手元に参りましたら持参して雇用契約をします。
- お仕事開始です。
就労継続支援事業所B型
どちらかといえば訓練やリハビリが主な目的とされるのがB型事業所です。障害の程度や年齢、体力面で雇用契約に基づく就労が難しい方に対し、生産活動の機会やその他就労を提供するとともに、知識や能力向上のために必要な支援を行います。
雇用契約を結ばないため、本人の病状や生活リズムに合わせて利用することが可能です。作業内容は、パン作り・お菓子作り・お弁当作りなどを行っているところが多いです。他と比べてプレッシャーが少ない反面、工賃は時給200円前後のところが多く、どれだけ仕事をこなしてもこなさなくても顔を出すだけでも1日一律500円というところもあります。利用期間の制限はありません。
デイケア→B型事業所と少しずつ負荷を増やしていき、A型事業所・就労移行支援・一般企業就労など段階を踏むことも可能。病院から一歩そとに踏み出す際に利用しやすい種類の施設かもしれませんね。
就労継続支援事業所B型の対象者
- 就職経験がない方、離職期間が長かった方の慣らしの場所として
- 就労移行支援事業所を利用した結果、B型の利用が適当と判断された方
- 就労経験がある方で、年齢や体力の面で一般企業やA型事業所に雇用されることが困難となった方
- 障害基礎年金1級受給者
- 今後就職は難しいと思われる方で、福祉的就労・居場所的な場を求めておられる方
事業所利用までの流れ
- お問い合わせ
- 見学・個別相談
- 体験利用・手続き
就労移行支援事業所との違い
就労移行支援事業所は、一般就労を希望する65歳未満で障害をお持ちの方が対象です。
就労移行支援事業所の利用において雇用契約はなく、利用者として2年間の期限内に一般企業への就労を目指します。
働きながらではなく、支援員がプランニングしたカリキュラムに沿って、資格取得やストレスマネジメント、体力づくり、企業見学や実習に集中して取り組みます。運営する母体企業が大きいことが多く、様々な企業とコネクションを持っていることも多いです。ご本人の適性にあった職場探しをしながら、就労後は職場定着のための支援を行ってくれます。
就労移行支援事業所の強み
- 資格取得・学習カリキュラム・リクルート・支援要員など、事業所を運営する母体企業の資本力や実際のノウハウが生かされており実践的である。
- 一般就労に向けて集中したスキルアップを図れる。
- 企業に対しての売り込んでくれる力が強い。
- 何を仕事にしていいのかわからない人も、適性をみてもらいながら幅広い訓練や就労先へのチャレンジが可能。
就労継続支援事業所の強み
- 利用期間の制限がないため焦らず自分のペースで利用できる。
- A型に関しては、最低賃金の保証と雇用保険に加入しながら学ぶことができる。
- 希望就労先と同じジャンルの事業所であれば、自分の生活ペースに合わせて実践的な訓練をすることができる。
- 教育やサポートに力を入れているところであれば、リクルート力もあり、就職後のフォローをしてくれる事業所もある。
無理をしすぎて調子を崩してしまっては元も子もありませんから、主治医と相談しながら適切な場所を選んで、生活に彩りを添えていけるといいですね。