雇用保険制度(失業保険給付)について

雇用保険制度(失業保険給付)について

会社に勤めていると給料明細からいろいろ引かれる中にありますよね「雇用保険」。このページでは雇用保険における失業保険の申請についてまとめてみました。正式には失業保険ではなく「雇用保険の失業等給付」といいます。

1 どんな人が対象ですか?

雇用保険に加入していて失業状態・求職状態であり、以下の加入実績がある方が対象です。

  • 職場を退職するまでの2年間に1年以上雇用保険に加入していた。
  • 倒産や解雇などの特定受給資格者の方は、職場を退職する日以前の1年間に最低6ヶ月雇用保険に加入していた。

2 失業保険ではどんな支援をしてくれるのですか?

以前いただいていた給与の5〜8割程度を90日から270日給付してもらえます。

給付金額や受給期間は、「雇用保険の支払い期間」「年齢」「過去半年間にもらった給与」「退職理由(自己都合扱いか会社都合扱いか)」によって決まります。

以下にCASIOさんの失業給付金高精度計算サイトのリンクを貼っておきますので、ご興味のある方は試算してみてくださいね。

雇用保険の給付額の計算ー高精度計算サイト

3 いつどこで手続きをするのですか?

退職して4週間以内に、住所地のハローワークで手続きをします。

  • 職場で発行された離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 写真付きの身分証明書
  • 写真(3×2cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳

を準備しましょう。

4 ポイント

  • 離職票をもらう前からハローワークへの相談は可能です。
  • 退職後に傷病手当金を継続して受給する人は、失業状態とはみなされないため雇用保険(失業保険)を受給することはできません。
  • 失業保険を給付している間に再就職が決まった場合、再就職手当が支給されることもあります。再就職が早ければ早いほど給付率も高いそうなので、ハローワークの人に相談してみてください。
  • 教育訓練給付という仕組みもあり、厚生労働大臣の指定する講座を受講し修了すると給付金がいただけます。失業したタイミングでステップアップもお考えの方は利用してみてもいいかもしれませんね。(雇用保険の支払い期間が3年以上、初めて手当を受給する場合は1年以上の条件あり。)
  • 休職中に病気などで30日以上働けない場合、最長3年間受給期間の延長手続きができることもあるそうです。これもハローワークの人に相談してみてください。

 

 

傷病手当金ってなんだろう?(健康保険について)

傷病手当金

傷病手当金は健康保険制度の中の給付金で「病気や怪我で働けなくなり給与がもらえない状態」の場合に『月間給与の約65%が休業4日目から最大18ヶ月間支給されるもの』です。さて、どのような人が対象でどのような手続きが必要なのでしょうか。見ていきましょう。

1 まずは公的健康保険制度についてのおさらい

公的健康保険制度と言うと何を思い浮かべますか?コクホとかシャホとか協会ケンポ・・・でしょうか。まずは、この枠組みをまず簡単におさらいしてみます。そんなことばっちりわかってる!傷病手当金について早く知りたい!という方は次の2項へお進みください^ ^

公的健康保険は大きく2つに分けられています。

まず1つ目、地域保険=俗にいう国保。地域保険は以下の3つの種類があります。

  1. 都道府県単位の「国民健康保険」(自営業者・非正規雇用の労働者・無職の人など)
  2. 特定業種の個人事業主のための「国民健康保険組合」(建設業・美容師・弁護士など)
  3. 75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」

2つ目の職域保険=被用者保険=俗にいう社保は主に4種類。

  1. 「全国健康保険協会(協会健保)」(中小企業の従業員の方)。
  2. 「組合管掌建国保険(組合健保)」(大企業の従業員の方)。
  3. 「共済組合」(公務員など)。
  4. 「船員保険」(大型漁船などの乗組員)

2つ目にご紹介した職域保険(社保)は、第一次世界大戦後の不景気対策として労使協調・国家産業を成長させることが目的で制定されたものだそうです。そのため国保にはない「扶養制度」というものがあります。所得額が少ない自分の家族を「自分の扶養者」として保険料を負担することなく健康保険に加入してさせることができるのです。他にも出産手当金・人間ドックの補助制度など安定して働くためのサポートが充実しています。(ちなみに業務が原因で発生した病気や怪我については労災保険で対応することになりますので、健康保険は使えません。)

それに対し1つ目にご紹介した地域保険(国保)は、世界恐慌時の農業者や漁業者の医療費負担軽減・保険状態の改善を目的に制定されたものです。そのため「扶養」の考えはなく、子供だろうが無職だろうが一定の保険料が必要です。

現在では公的健康保険と一言で括られていますが、制定された時期や目的など性質がだいぶ異なっていることがイメージされましたでしょうか。

2 傷病手当金の対象者

では、公的健康保険制度の全体像が頭に入ったところで傷病手当金の給付ついてお話を移します。

まず、どの種類の保険でも傷病手当金がもらえの?という問いかけから。。。

これに関しては話の流れでお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、ざっくり2つに分けた保険のうち傷病手当金が給付される保険は、2つ目の職域保険(社保)と、特定の国民健康保険組合だけです。つまり国民健康保険(国保)にご加入の方は傷病手当金は支給されないということです。(そもそも仕組みがない)

これは、先にご説明いたしました、それぞれの保険の生まれた目的を振り返っていただけますと分かりやすいかと思います。

そして心身の状態面から見た給付対象基準ですが、病名による判断基準ではなく「一刻も早く療養・休息を取る必要のあると医師が認めた人」であり、なおかつ勤め先に休業に関する規則がなく休業したら給料が支給されない人傷病手当金以下の給与しか支払われない人が対象です。

まとめると国民健康保険・後期高齢者慰労制度以外の保険にご加入の方で『直ちに休息が必要と診断されお給料の補償もない』という方は、傷病手当金の申請を念頭に入れたほうがいいということになります。

3 申請までの流れ

  1. まずは勤め先の休職(休業)に関する規則を総務課などで確認しましょう。会社によっては申請を代行してくれる会社もあります。
  2. 全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合などが窓口となります。お持ちの保険証をご確認くださいね。
  3. 傷病手当診断書の作成を依頼。作成費用は保険が適応されるため1通300円です。病院に依頼する前に「◯月◯日〜◯月◯日まで」の診断書が必要なのか証明期間を明確に会社に確認しておきましょう。いつからいつまでのものかが分からないと病院でも作成できません。そして他の書類と同様、作成には少なくとも1週間はかかりますので、申請には余裕を持ったスケジュールを立てましょう。(注:未来の期日に関しての証明はできないという原則から、お渡しは診断書にご指定された証明期間が経過した翌日以降となります。
  4. 健康保険傷病手当金申請証と診断書、他添付書類もあればそれを合わせて申請先窓口へ提出します。

4ポイント

・休業が長引き退職することになったら、今入っている保険の任意継続を申請するか、国民健康保険に加入しましょう。任意継続は2年間続けることができますが、申請は退職後20日以内にしなくてはならないため注意が必要です。任意継続と国保、どちらがお得かは収入や家族構成、お住まいの自治体によって変わってくるので、退職前に役所の国民年金窓口で見積もりを出してもらい任意継続した場合の保険料と比較することがおすすめです。

・傷病手当金支給開始から1年6ヶ月までの期間は途中で退職しても支給を受けることができます。ただし、一度使うと同じ傷病名では一定期間使えなくなりますので注意が必要です。

・病気になった原因が明らかに労働条件によるものと考えられる場合には、労働基準監督署に労災認定を申請することもできます。退職しても労災認定がされていれば治癒するまで休業補償は受けられます。

 

障害年金ってなんだろう?(年金について)

年金も様々な種類がある

国民年金、厚生年金、、ここまでは馴染みのある言葉ですが、同じ年金でも「障害年金」とはなんでしょうか?頭をスッキリさせるために、まずは基本の「公的年金」からカンタンにご説明していきます。

1 公的年金は2種類に分けられ、給付の形は3種類

ざっくりいうと国が運営する年金のことで、「国民年金」「厚生年金」に分けられます。

  • 国民年金は国民全員が加入する年金。
  • 厚生年金は企業に勤めている人が国民年金に上乗せするカタチで加入できる年金で、毎月収める金額の半分を会社が負担してくれる(労使折半という)ありがたいものです。

ちなみにこれらにさらに上乗せする「厚生年金基金」や「確定拠出年金」などもありますが、これらは私的年金といい公的年金ではありません。

そしてなんといっても、「年金」というと「老後は年金がもらえる!」といったように老後の給付イメージが一番強いのではないでしょうか。このダントツに認知度が高い給付パターンを『老齢年金』というのですが、実は老齢年金の他にも2種類の給付の形があるのです。

それが、『遺族年金』『障害年金』です。

遺族年金は、文字の通り亡くなった方の遺族に対して給付されるものです。そして本題の『障害年金』は、『怪我や病気などが原因で障害認定を受けた方に対して給付されるもの』なのです。もちろん前提として年金保険料の納付をされていた方が対象です。

簡単にまとめると障害年金とは公的年金の給付パターンのひとつであるということが言えると思います。

障害年金という言葉の実体が少し見えてきましたでしょうか?

2 どのような状態の人が障害年金の対象者なのですか?

ここでは、精神領域での障害年金対象者についてまとめてみます。

主な疾患としては

  • 統合失調症
  • 妄想性障害
  • 躁うつ病
  • てんかん
  • 症状性を含む器質性精神障害
  • うつ病

などの疾患をお持ちの方が対象です。加えて年金というだけあって、すぐに申請できるものではなく、障害の原因となった疾患の初診時から1年6ヶ月以後の状況で、精神障害の程度も一定の重さで固定している場合にようやく申請が可能となります。

障害年金申請時期イメージ

1年半以上疾患により生活が制限されていて改善が難しい状況の方は、障害年金を視野に入れて考えてみましょう。

障害年金には軽度から3級、2級、1級と等級があるのですが、日本年金機構の等級判定ガイドラインによると1、2等級の具体的な状況例として

  • 適切な治療を行っても重篤な症状が続いていたり、軽減と悪化を頻繁に繰り返している状態
  • 自己管理能力や社会遂行能力に著しい制限が認められている状態
  • 対人関係や意思疎通がを円滑に行うことができない状態
  • 家族や重度訪問介護等から常時援助を受けて生活している状態(独居の場合はこれらの支援やサービスを受けていなくても受ける必要性を認める場合)
  • 就労していても、勤務時間外は上記相当程度の援助を受けて就労している状態
  • 就労中、常時管理や指導が必要な状態(2級程度)個別の管理や指導が必要な状態(1級程度)
  • 特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合(2級の可能性を検討)

などが挙げられていて、これらを総合して等級が決定されるようです。もっとざっくりまとめてみると、

3級は就労に制限が出ているレベル(国民年金は残念ながら3級がないので、2級以上を認定されたときののみ給付となります。)

2級は、日常生活に著しい制限が出ていて、簡単な家事ならできるが就労により収入を得ることが困難なレベル

1級は、日常生活に常に援助が必要なレベル

です。障害年金を申請にする際の診断書には、申請者の状態をかなり詳細に記入する項目が設けられています。病状や治療経過、そして現在の状況を事細かに精査して総合的に判断し、年金給付の決定をしているのですね。(ちなみに障害者手帳との等級との関係はありません。)

障害年金の申請は大変!とよく聞きますが、年金は決して安くない金額をみんなが毎月納付することで成り立っている助け合いの仕組み。かなり大きなお金が動きます。本当に必要とする人が安定した給付を継続して受けることができるよう、審査が厳しいのはむしろ健全なことといえます。

そして障害年金の審査では診断名だけで給付が決まる性質のものではなく「ご自身が具体的にどうのようなところで生活に制限を受けているか」というところが大きなチェックポイントと言われています。書類は医療機関に依頼だけして後は集めて出すだけ、、、という感覚ではなく、ご自身の持っている情報(経過や生活・就労の不自由さの詳細)を積極的に主治医に伝え、年金機構に事実が伝わるように主体的に書類作成をしていく必要があるということも、障害年金申請時の特徴と言えるでしょう。

3 前提条件

さて、どのような困難(ご病気)をお抱えの方が給付対象かについては前項でご紹介しましたが、そもそも年金の納付をしていないことには受給資格はありません。

そのため、申請にあたり「前提条件」というものが2つ存在します。

  1. 初診日要件:障害の原因となったご病気の初診日が、国民健康保険・厚生年金保険の被保険者期間中であること。
  2. 保険料納付要件:初診日の属する月の前々月までの保険料の納付期間が3分の2以上あること。(なお初診日が20歳前だった場合、初診日から20歳までの期間に関しては保険料納付の責務自体ありませんので納付要件が問われることはありません。)

<ご自身の年金状況はねんきんネットで調べられますよ!→ねんきんネット

この2つの条件は必須となります。

4 申請方法

①まずはご自身の経過や状態における障害年金申請の妥当性について医師に確認しましょう。

②申請する方向となりましたら『前提条件』をご自身が満たしているか確認しましょう。前提条件は初診日要件保険料納付要件でしたね。

<ちょっとここで『初診日』について> 障害年金申請時によく出てくる言葉『初診日』とは、今回申請する障害の原因となっているご病気について、初めて医師に診てもらった日にちのことです。 パッと思い当たらない場合は日記やお薬手帳など情報が記録してありそうなところからも探してみましょう。いつ頃かわかりましたら、初診時の病院でカルテで確認してもらうことになりますが、初診した病院が廃院していたりカルテの保存期間が切れていたりしまいわからなくなってしまっていることもあります。そのような時は、診断書やお薬手帳、診療報酬明細書などで確認していきます。 この『初診日』は大切になってきますので、しっかり調べましょう。 (なお、発達障害は20歳前に症状が出ていても20歳以降に受診した場合はその受診日が初診日となります。)

前提条件が2つクリアしていたら③に進みましょう。

③次は「障害認定日」を医師に確認しましょう。また新しく出てきた!と思うことなかれ、日付関連はこれで終わりです。障害認定日の決まりかたには2パターンあります。

1.障害の原因となった疾患の初診日から1年半経ち、回復の見込みが難しく症状が固定化したとみなされた日(慢性的な経過を辿ったパターン)

2.障害の原因となった疾患の初診日から1年半以内でも、回復の見込みが難しく症状が固定化したとみなされた日(事故や手術、急性的な発症で障害を認定されたパターン)

給付はこの障害認定日以降について計算され受けとることができます。(なお、初診日が20歳よりも1年半前以上前である場合は20歳となった日が障害認定日となります。)

請求書類をもらいにいきましょう。行き先はご加入の年金の種類によって異なります。

  • 国民年金           市区町村役場の国民年金課
  • 障害厚生年金     社会保険・年金事務所
  • 障害共済年金     各種共済組合

申請に際し集める書類も多いため、きちんと説明を聞いてきましょう。一人だと不安な人は付き添ってくれる人がいると心強いですね。

また窓口に行く前に、一番初めに診てもらった時から現在までの経過を紙に書き出しておくことをお勧めします。日付と医療機関、診断名と治療についてだけ流れがわかる程度で構いません。入退院もおありでしたら、流れに書き加えておきましょう。それを持って窓口で相談しどの書類をどの医療機関で記入して貰えばよいかを確認してきましょう。

<ちょっとここで、遡及請求=障害認定日請求について>
心の声『障害年金を受給することになったけれどもこの状況っていまに始まったことじゃないんだよな、、、。最近、障害年金の仕組みを知って申請したんだよな。もっと早く知って申請しておけばよかったな。障害認定日まで遡って給付してもらえないかな・・・。』こんな思いに応えるのが「遡及請求=障害認定日請求」です。

具体的には初診日から1年半〜1年9ヶ月ごろに通院していて、既に障害の状態であれば遡及請求の対象となります。

遡及請求をする際はもう一枚診断書(フォーマットは普通の診断書でOK)が必要になりますので、年金担当窓口の人にどこの医療機関でいつからいつまでの診断書をもらって来ればいいのかもしっかりと確認してきましょう。

→初診の病院で障害年金申請をする方は⑥に飛んでください。

⑤現在の病院前に、過去病院を転々とされた方は、初診証明を取得しましょう。障害の原因となっているご病気について初めて受診した病院に行き作成依頼をしましょう。「障害年金を申請するので、初診証明をいただきにまいりました」と受付の方に伝えれば通じると思います。

ちなみに、初診日がA病院、次にB病院で診てもらい転院、現在通院中のC病院にて障害年金申請をするという場合は、A病院が「初診証明」   C病院が「障害年金診断書」を書くことになります。

その際、C病院としてはB病院での経過がわからないと障害年金診断書が書けないということも多々あります。

前述したように、「病歴申立・就労状況等申立書」や「障害年金診断書」は障害年金の給付がいかに必要であるか、という根拠を年金機構にアピールする書類です。場合によってはB病院の診断書も必要なこともあります。その際は病院行脚になってしましいますが、B病院にも診断書作成依頼をしC病院の医師へ提示する必要があります。

病歴・就労状況等申立書を作成しましょう。年金窓口でいただいた書類の一つです。発病の時期、状況、治療の経過、入退院・転院・治療の中断・再開、就学や就労の状況、作業所の利用、ヘルパーさんの利用状況、日常生活や家庭での生活でどのような支障が出ているのかを具体的に書きます。とても大切な書類で、障害等級の決定に影響を与えることもある書類です。ありのままを記入します。

⑦主治医に「障害年金診断書」の作成依頼をしましょう。「病歴・就労状況等申立書」「初診証明(前医がいる人のみ)」「前医での診断書(前医がいる人のみ)」を受付の人に渡して依頼をしましょう。遡及請求する方は遡及請求用の診断書の作成依頼もしましょう。その時はいつからいつまでの期間の診断書なのかをきちんと受付の人に伝えましょう。←年金事務所で聞いてきてくださいね。

(参考までに障害年金診断書の費用は、筆者の知っている病院では1通1,1000円でした。)

⑧この診断書完成までは時間がかかります。大体1ヶ月は時間を見ておいた方がいいでしょう。よって、この待ち時間に裁定請求書の記入と添付書類の準備をします。これも年金担当窓口でいただく書類の一つです。老齢年金も然りですが、年金は「受給権を有する人が請求をして初めて給付がスタートする」ものです。この書類は年金機構に対して「請求」の意向を伝える書類です。

⑨全ての書類が揃い次第、申請となります。

5 更新について

更新時期はその人その人で様々です。1年毎の方もいれば数年おきでよい方もおられます。

更新の際に必要な診断書は『障害状況確認届』といいます。これも障害年金給付が妥当かを定期チェックする大切な書類です。(参考までに筆者の知っている病院では1通8,800円でした。)

障害状況確認届の依頼に関して〜

障害年金申請を行った病院での障害年金更新でしたら、かなりの情報を病院も把握していると考えられるため、受付に書類作成依頼するのみで問題ないかと思います。ただ経過が長い方がお引っ越しなどで病院を変わられ、転院先で障害年金の更新をする場合、現在の主治医が初診から現在までの詳細な情報を保持していないと思われる場合は、過去の詳細な状況報告を求められる場合もあります。そうならないためにも、転院時に障害年金更新時も考慮した紹介状を書いてもらいましょう。

更新時も審査は入ります。ご自身のことはご自身が一番わかります。必要な情報提供をし、医師やスタッフさんと協力して一緒に書類作り上げる気持ちが大切です。

 

 

精神保健福祉手帳ってなんだろう?

精神保険福祉手帳

障害者手帳という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?障害者手帳とは「ある一定の障害をお抱えになっている方に交付される手帳で3つの種類があります。『身体障害者手帳』『療育手帳』そして今回ご説明する『精神保健福祉手帳』の3つです。このページでは、この中の『精神保健福祉手帳』について簡単に学んでみましょう。

1精神保健福祉手帳とは

この手帳は「一定程度の精神障害を抱えられている」ということを認定するものです。この手帳を提示することで様々なサービスを受けることができます。自立や社会参加の促進を図るために設けられました。

対象は精神疾患(発達障害・薬物中毒なども含む)をお抱えの方で、それにより長期に日常生活または社会生活への制約が出ておられる方です。この手帳は通院を初めてから6ヶ月経過すると申請可能なので「初診から半年経ったけどまだ治療は続きそうだな〜。生活もしにくいな〜」と感じたら主治医に相談してみましょう。

なお知的障害はあるけれども精神疾患がない方は、精神保健福祉手帳ではなく『療育手帳』を受けることができます。知的障害をお持ちで精神疾患もお抱えの方は両方の手帳を受けることができます。


2 精神保健福祉手帳のメリット

自立支援医療制度のメリットが「受診料の窓口負担軽減」が主であるとしたら、精神保健福祉手帳のメリットは「暮らしの中での負担軽減」と言えるのではないでしょうか。

以下に精神保健福祉手帳で受けられるメリットについて簡単にまとめてみましたが、サービス内容は申請者の状況によって決定される『等級』や、お住まいの『自治体』、利用する『事業者』によって異なります。詳しくは管轄の市区町村ウェブサイトなどでご確認ください。

<メリット>

  • 税金の控除(所得税・住民税・相続税・自動車税など)
  • スマートフォンの利用料金割引
  • 上下水道料金の割引
  • 公共交通機関、施設利用料の割引
  • NHKの受信料免除
  • 就労の際、障害者雇用枠への応募が可能に
  • 生活保護の障害者加算
  • 1級の場合は「特別障害者手当」(毎月2,7000円ほど支給)、「心身障害者医療費助成制度」(健康保険の負担金を一部助成。)の申請が可能に。ただし1級というのは日常生活が一人では行えず介助者が常に必要な状況ですのでかなり重い症状をお持ちの方です。
  • 通所交通費の助成
  • 福祉手当

また、精神保健福祉手帳を申請することが勤務先などに通知されることなどはありませんので特に大きなデメリットに関してはないものと考えています。有効期限は2年間(2年ごとに更新が必要ということ)ですので、その手間などぐらいでしょうか。診断書のお金がかかったとしても、いろいろな割引でマイナスにはならないと思います。


3 申請の方法

治療を開始して半年以上経過しており、この制度に関してお気になられました方はまずは主治医と相談してみましょう。申請後は等級認定審査もありますので、妥当性に関してきちんと確認しておくことは大切です。

「申請しましょう。」となりましたら、必要な書類を集めましょう。

提出に必要なものは、①申請用紙②診断書③写真 ④マイナンバーカード(番号通知カード)⑤身元確認書類です。

また精神障害による障害年金を受給されている方は、わざわざ診断書を取らなくてもその証書の写し等で診断書の代用をすることが可能です!

では、申請方法のご説明です。診断書で申請する方法と障害年金証書で代用する場合と2つご説明しますね。

<『診断書』で申請をする方は・・・>

  1. 手帳を申請することとなりましたら、提出書類の用紙をいただきに、お住まいの市区町村役所(場)の障害福祉を担当する課に行きましょう。役所内での場所が分からなかったら総合受付の方に「精神障害者保健福祉手帳の申請に来ましたが、障害福祉を担当する課はどちらでしょうか?」と聞いてみましょう。(市区町村によってはホームページからダウンロードできる場合もあります)
  2. 担当課で『申請書』『診断書』の指定用紙をいただきます。(障害年金受給者の方で年金証書の写し等で申請する方は診断書の指定用紙は不要ですね。)
  3. かかりつけの病院で診断書の記載依頼をしましょう。(診断書は大切な書類であり、作成に1週間以上かかるところがほとんどです。早めに依頼しましょう。費用は各病院で違いますが、参考までに筆者の知っている医院では4,400円でした。)依頼の際は、受付さんに診断書が出来上がったらお電話をいただくか、定期受診時の受け取りでいいのか等の打ち合わせをしておくとスムーズです。
  4. 診断書完成を待っている間に縦4cm×横3cmのご自身のお写真を準備します。手帳に貼る用のものです。
  5. 『申請書』に必要事項を記入してしまいましょう。
  6. 指定用紙記入された『診断書』が出来上がり手元に届きましたら、『申請書』『診断書』『写真』『マイナンバーカード(ない人は個人番号カード)』『本人確認書類』を持って、用紙をいただきに行った役所の担当課へ申請に行きましょう。なお、診断書は申請日からさかのぼって3ヶ月以内のものでなければ窓口で受け取ってもらえないため、診断書が完成したら早めに申請しましょう。
  7. 申請→審査→結果まで2ヶ月ほどかかります。
  8. 手帳が完成しましたら「有効期限」日ををカレンダーにチェックしておきましょう。

<『診断書』ではなく『障害年金証書』等で申請をする方は・・・>

準備するものが若干異なります。『申請書』『写真』『マイナンバーカード(作成していない方は個人番号カードカード)』『身元確認書類』までは同じですが、診断書の代わりに『年金証書の写し』『年金の振込通知書』『障害種別等級照合の同意書』が必要です。


4 有効期限と更新

有効期限は「手帳交付日より2年後の日が属する月末まで」となっています。

更新は有効期限の3ヶ月前より可能です。必要書類は申請時のセットに加え「現在の手帳の写し」が必要です。この時に改めて等級の審査がなされ、等級が上がることもあれば「非該当」となることもあり得ます。


5 自立支援医療制度との精神保健福祉手帳の期限を合わせよう

自立支援医療制度もご利用中の方は、お住まいの市区町村役場に相談することで「精神保健福祉手帳」と「自立支援医療制度」の更新時期を同じ時期に調整していただけます。手間暇が減り、予定も立てやすくなるのでおすすめです。

自立支援医療制度ってなんだろう?

自立支援医療制度

自立支援医療制度(精神通院医療費助成制度)をご存知ですか?

この制度は「どのような経済状況の方も、精神疾患に対して必要な治療を継続して受けることができるようにすることを目的とした医療費助成制度」です。

このページでは、制度の対象者や具体的な軽減内容、申請方法などについてシンプルにご案内していきます。

1 対象となる方

統合失調症、躁うつ病、気分障害、てんかんなどのご病気があり、継続的な治療を必要とする方です。


2 この制度の主な特徴

  • 窓口負担が1割になります。
  • 加えてこの1割負担が過大とならぬよう、窓口で支払う金額には毎月上限が設けられています。この自己負担上限月額は、所得や症状に応じて決まります。(2,500円から20,000円の範囲です)
  • この制度は有効期限があります。最長1年です。制度の利用を継続する際は更新が必要となります。(ただし更新の際に添付する診断書の提出は、2年に1度でよいようです)
  • この制度は、診療時だけでなく、精神科デイケア、訪問看護、薬局でも利用することができます。ただし、その都度どこの施設でも良いわけではなく、申請時に登録した指定自立支援医療機関(病院・薬局)に限ります。
  • 職場などに連絡はいかないので、安心して申請することができます。

3 自己負担額について

少しイメージがつきましたか?

そして、ここまで聞きますとご自身の毎月の自己負担上限額がはいくらなんだろうか?と気になりますよね。

自己負担金額上限額に関しては簡単には申せませんので、以下に県のホームページのリンク貼らせていただきました。そこに掲示されております「利用者負担額について」の表をご参照ください。リンクからページに飛びましたら、グググっと画面を下にスクロールしていただけますと表が出てきます。

埼玉県 自立支援医療申請者の方へ

どこに当てはまりましたか?

なお、この表を見ていく上での「世帯」とは、住民票上の家族のくくりではなく同じ健康保険に加入している家族を1世帯と見なしています。そのため、同居していても異なる健康保険に加入している家族同士は別世帯となります。

また「重度かつ継続」の該当者とはその人の病状によって異なりますので、主治医に確認することとなります。


4 申請方法

では、イメージがより具体的になったところで、申請方法のご説明です。

まず申請先ですが、お住まいの市区町村役所(場)の自立支援医療担当課となります。各役所によって担当課の名称が違うので(縦割りってやつですね)、総合受付などで「自立支援医療制度の申請に来ましたが、障害福祉担当の課はどちらになりますか?」となどお尋ねになりますと窓口を教えてくれるかと思います。心配しなくて大丈夫です。

<初めて申請する場合で精神障害者保健福祉手帳をお持ちでない場合>

  1. まずは主治医と相談しましょう。
  2. 申請することになりましたら、「自立支援医療費意見書(診断書)」を医師に作成してもらいましょう。ただ、この意見書は診断書だったらなんでもいいわけではなく、各自治体指定のフォーマットがありますので市区町村役所(場)にもらいに行く必要があります。ただ、医療機関によっては、近隣いくつかの自治体のフォーマットを取得しているところもありますので、お住まいの市区町村役所(場)に意見書用紙を取りに行く前に受付スタッフさんにとに確認してみましょう。そしてこれは大切な書類なので頼んですぐには出来上がりません。作成にどのくらいかかるかも確認しておきましょう。平均して作成には最低1週間かかり、費用は1通3,300円くらいです。書類が出来次第連絡を入れてもらうか、次回外来の時でいいのか、受付スタッフさんと相談しておくと行動スケジュールが立てやすいですよ。
  3. お住まいの市区町村役所(場)の自立支援・障害福祉担当の課に「自立支援医療費(精神通院医療費)支給認定申請書」を取りにいきます。(かかりつけ医が「自立支援医療費意見書(診断書)のフォーマットがなかった場合は、この意見書(診断書)のもいただいてきましょう。)
  4. 役所の人に添付書類(支給認定申請書・意見書(診断書)以外の提出物)についても必ず確認してきましょう。分かりやすく説明されたプリントも各役所ごとに準備されています。不明なこと・曖昧なことはここで全部聞いてきてしまいましょう。
  5. 役所の人に指示された添付書類を集めましょう。(マイナンバーカードや課税・非課税証明書などかと思います。)意見書(診断書)の依頼がまだだった方はかかりつけの病院に作成依頼をしましょう。
  6. おうちでは役所からもらってきた支給認定申請書を記入します。また自立支援医療制度が使える病院・薬局は申請時に指定した施設のみです。(のちに変更可)かかりつけの病院はお決まりとは思いますが、受給者証に記載する「利用しやすい薬局」を決めておきましょう。健康保険証のコピーも余裕のある時にとっておきましょう。
  7. 意見書(診断書)が出来上がりましたら病院に受け取りにいきます。
  8. 支援認定申請書、意見書(診断書)、役所の方に指示された各種添付書類、健康保険証の写し、印鑑を持って、担当市区町村役所(場)の障害福祉担当課へ申請にいきましょう。
  9. 申請しましたらその場で『申請書の控え』というものをいただけます。これは自立支援医療利用の認定が下りる前に(後述する『自立支援医療受給者証』がご自宅に届く前に)病院・薬局窓口へ提出することで『自立支援医療受給者証』と同様、1割負担となるものです。受診時に受付へ提示してみてくださいね。
<初めて申請する場合で精神障害者保健福祉手帳をお持ちの場合>

精神障害者保健福祉手帳をお持ちでない方と概ね同じなのですが、手帳を既に持っていることで自立支援医療制度申請の際の意見書(診断書)提出を省略できる場合があります。

ただし、お持ちの精神障害者保健福祉手帳交付の際に添付した書類の内容によっては異なってくるそうで場合によっては手帳をお持ちでない方と同様に意見書(診断書)が必要な場合もあります。事前に市区町村役所(場)に確認しておくことをお勧めします。

また申請時に入院中の方は、手帳があっても退院の見込みを確認するために意見書(診断書)の提出が必要です。

<初めて申請する場合で精神障害者保健福祉手帳も同時に申請する方>

概ね流れは同じですが、精神障害者保健福祉手帳申請に必要な「手帳用の診断書」があれば、自立支援医療費申請のためにわざわざ別に意見書(診断書)を提出する必要はありません。

ざっと、このような流れでしょうか。

以下は、埼玉県の申請に係る書類や手続きに関するお問い合わせ先のリンクです。ご不明な点は担当の市区町村役所(場)さんへお電話でご確認くださいね。

埼玉県自立支援医療制度申請窓口一覧表


5 申請後

認定されると「自立支援医療(精神通院療法)受給者証」と「自己負担上限額管理票」(小さな冊子のようなもの)の2つが交付されます。この制度を利用する際は、毎回必ず窓口に提出するものなどで大切に保管してくださいね。(つまり診察時の受付だけでなく、デイケアや薬局でも提出するということです。)

保険証などとセットにして一つのポーチにまとめられる方もおられますよ。

そして、受給者証に記載されている「有効期限」の欄を確認してみましょう。これは、「この日までが、今回の申請でこの制度を利用できます。」という意味です。ということは、1年以上治療が長引きそうな際は事前に継続申請する必要がありまね。有効期限を手帳などに記載して忘れないようにしましょう。この時、有効期限日の3ヶ月前の日にちにもチェックを入れておくと便利です。その理由と制度の継続方法は次の項でご案内しますね。


6継続申請のポイント

先に述べましたように、この制度の有効期間は最長1年です。したがって治療が1年以上継続して必要な方は「この制度を継続して使いたいです」という意思表示をしなくてはいけません。もちろん役所の人も貴方の治療内容までわかりませんから「もうすぐ期限ですよ」と連絡をしてもらえるわけではありません。

そして鋭い方はもうお気づきでしょう。

そうです。継続の申請をしてから新しい受給者証が交付されるまでは時間がかかるのです。

継続の申請は有効期間満了日の3ヶ月前からできますので、手続きは早めに行いましょう。手帳にチェックした意味お分かりになりましたね^ ^

なお継続の際に必要な意見書(診断書)は2年に1度の提出でいいそうなので、最初の継続申請の際は意見書(診断書)は不要です。それも手帳に記入しておきましょう。


7ワンポイント

  • 自己負担上限額管理票(小冊子みたいなもの)には毎回窓口の人が実際に支払った金額を記入してくれるのですが、月ごとに累計金額を仕切り直すため欄が余っていても月が変わると新しいページへ移っていきます。その際、新しい月のページの記名欄、上限額にお名前・金額を書いてくれる施設と書いてくれない施設とがあります。月が変わりましたら、その月のトップページの記名欄にご自身のお名前が記入されているかしっかりと確認し、されていなかったら間違いや紛失予防のためにご自身でご自分のお名前を記入しておきましょう。
  • 受給者証に記載されている内容が変更となる場合にはお住まいの市町村役場で手続きが必要です。特に、通院先や薬局が変更となる場合には忘れずに事前に役場で変更の申請をしましょう。
  • 精神保健福祉手帳もお持ちの方は、お住まいの市区町村役場に相談することで「自立支援医療受給者証」と「精神保健福祉手帳」の更新時期を同じ時期に調整していただけます。手間暇が減り、予定も立てやすくなるのでおすすめです。

8 自立支援医療制度(精神通院医療制度)に関するお問い合わせ先

埼玉県立精神保健福祉センター(審査担当)  048−723−6802

埼玉県福祉部障害者福祉推進課                      048−830−3295

シンプルキッチン

シンプルなお台所

自分で選んだ安全な食材や調味料で自炊することが、エネルギー的にも腸内環境にも望ましいと分かってはいるものの、身体がだるかったりココロがしんどい時にゴハンを作ることって結構しんどいですよね。このページではそんなあなたへのオススメレシピ、、、、ではなく、ちょっと違った視点、、、料理をすること自体のハードルを下げる環境、、、つまりキッチンについて考えてみたいと思います。キッチンがゴチャゴチャしちゃっている方はご一読ください。

1 思い込みから解放されよう!そもそも食べるってどういうこと?

毎日3食食べましょう!これが基本の食のカタチです!こんなおしゃれなプレート作ってみました!

教科書だったり企業のCMだったりSNSだったり、毎日のように各種メディアから情報の刷り込みが行われていますよね。そんな情報には、ただただ事実を述べているもの、なんの意図もなく個人的な事柄を伝えているものも勿論ありますが、情報を出す側によって「自分たちにとって好都合な印象を受け手が持つように、内容や表現の仕方を操作されたもの」も多々あります。

例えば食に関しての情報では、淡々と科学的根拠や栄養成分のデータを載せているサイトもあれば、食品業界の経済活動である「CM」、みんなに簡単に経済的に作って欲しい!という思いがこもった簡単レシピ動画、働きながらも私こんなにお料理おしゃれに作りました♪的なサイト、昔の例であれば、エジソンがトースターや電気消費を促すために「1日3食摂取するともっと健康に賢くなれるよ〜」と推奨したとかしないとか、世の中の情報はそのまま丸呑みしていいものばかりでもありません。

そんな情報のシャワーを浴びていると「へーそうなんだ!」「みんな〇〇って言っているから正解なんだ!」「流行っているから」とつい盲目的になり、本質を見失い操作されてしまう可能性も。(この方が楽ですからね。)故に、大量の玉石混合の情報を相手にするに世渡りしていくには、信じる者とかいて「儲ける」と読む一面を利用している側の存在も意識しておいた方がよさそうです。

勿論、食べることやお料理が好きな人、それらの意図が分かった上でその情報を楽しんでいる人にとってはいいのかもしれません。しかし、健康に気を使っていたり真面目な人ほど「1日3食しっかり食べなければならない」「1日30品目取れるように献立を立てられない私は情けない人間だ」「手の込んだ物が作れない私は母親失格だ・・・」と、無意識に購買意欲をかき立てる情報に追い立てられた結果、日常生活の中で選択の機会が増え消耗させられたり、他者と比べて自信を失ってしまったり、、、。「食」という本来シンプルである営みのハードルを自ら上げてしまってることも多く見受けられます。

昔日本では、「ハレの日」と「ケの日」を使い分け、生活にメリハリを出しながら活動のバランスをとっていたといいます。ハレの日は結婚式や祭りなど特別な日、ケの日は普段どおりの生活を送る1年の大半の日のことです。先に述べたような情報のシャワーに翻弄されることで、現代の私たちは知らず知らずのうちに「ハレの日」が多くなってはいないでしょうか。

また原点に戻って考えたとき、「食」とは「自分の命を継続させるために、必要な分だけ、他のものの命をいただく」ことですよね。またよく言われることですが、もともと人間は原始の時代から何百万年も飢えと戦いながら種を存続させてきた生物。飽食の時代となったのは本当につい最近の出来事です。加え仕事内容も肉体労働から頭脳労働にシフト。固定観念とライフスタイルの変化が噛み合わず、一生懸命こだわってもお料理をしたところで高カロリー低栄養になっていることも多いのが現在の食事です。(それはそれで美味しいですけれどもね)

つまり、機能性を求め食に関してプラスのこだわりがない人にとってのキッチンは、「普段の生活の中で、自分の命を継続させるために必要なぶんだけ、他のものの命をいただく」という営みさえ実行できれば、それ以上の機能を有する必要はないのです。

2 無駄なもの買ってませんか?

先に述べた情報からの後ろめたさや焦り、購買意欲高揚などから、一回使っただけで残ってしまいそうな珍しい食材や使用頻度の低い調理器具を買ってしまうことは誰しもあると思います。振り返ると「なぜこんなものを買ったのだろうか。。。」と思うような物です。

それらの、たくさんの調味料、ごちゃごちゃした食器たち、あふれる鍋、賞味期限が切れて意味不明になっている食材、使用頻度が少ないくせに場所を占領している家電、、、。これらに囲まれているとエネルギー取られませんか?そして経済的にも無駄に消費させられていませんか?

珍しい材料や独特の調理器具がないと作れないお料理やスイーツ。お料理が好きな人ならいざ知らず、そうでもない人にとっては年に何回作るか作らないか。。。その時のために毎日のエネルギーが削り取られるのはもったいないですよね。選択の機会というのはありがたいことではありますが、意外と消耗させられます。シンプルキッチンを目指す上では、余計な選択の機会を減らすこと、視覚からの情報量を減らすこと、作業スペースの確保が大切です。

現代は腕のいいシェフやおしゃれな手作りパンやお菓子のお店などがたくさんあります。全部自分がやる必要はありません。一人でなんでもできなくていいんです。喜んで食べてもらえたり、購入してもらえることはお店の人も嬉しいことだと思います。

健康的な食生活は大切だと思っているけれども必要以上にお料理に時間をかけるくらいなら、好きな本を読みたい、お風呂にゆっくり入りたい、仕事に集中したい、という方は是非これから紹介する具体例を実践し、あなただけのシンプルキッチンに整えてみてください。

3 捨てる

ではどんどん捨てていきましょう^ ^

①キッチンツール

鍋はよく使うものだけに絞りましょう。1年使っていないお鍋は破棄。シンク下の引き出し1つに収まる分だけに絞り込みましょう。私は揚げ物は家ではせず、お肉屋さんで売っているラードで揚げているものをたまにいただくのみなので揚げ物セットもありません。蒸したい時は折りたたみ蒸し器が便利です。お一人様鍋をよくやる方は、キッチンからそのまま移せるお一人様お鍋は置いておいてもいいかもしれません。その他、ほとんど使わないキッチン便利ツールなどは菓子箱などに移して1年くらい物置で保管しておきましょう。そして1年使わなかったら捨ててしまいましょう。

②食器

食器棚から食器を全部出して見直してみましょう。1ヶ月の食生活を振り返り一度も使わなかったものは破棄。そして破棄後空いたスペースに余計なものは入れないようにしてお気に入りの食器だけにしてみましょう。小さい食器は1人暮らしだったら2セットずつ、2人暮らしだったら4セット。湯飲みやコップは4つずつもあれば十分でしょう。ワンプレートとスープ皿だけにしてしまうのも一つの作戦。選別の結果残った食器たちはヘビーローテーションになると思いますので、欠けてしまったり割ってしまうこともあるかもしれません。そんな買い替えの時は、お気に入りの一点ものを探して自分へのプレゼントにすることも素敵ですね。

来客が来た時はどうするのか、、、ですか?これを読んでいる方はお料理好きの方は少ないと思いますので(苦笑)そんな時は笑顔で出前を頼みましょう!!無理しすぎると寝込みますから(汗)可愛い紙コップや紙皿も安く売っていますので、人数が多い時はそれらで対処しましょう。ホストが無理なく笑顔で迎えてくれることがゲストも安心して楽しめるポイントだと思います。

③キッチンマットは敷かない

シンク周りは意外と食材カスが落ちたり濡れてしまい汚れてしまう場所。こまめに掃除をしたいところですがキッチンマットは大きくて洗濯も単独でせねばならず、掃除機をかけるにしても床とキッチンマットの隙間にゴミもたくさん溜まります。転倒の原因にもなりますのでここは敢えてキッチンマットは敷かず、汚れたらその都度キッチンペーパーなどで雑巾掛けをすると簡単にいつでもピカピカです。

でも、小さいお子さんがいるおうちはびちょびちょになるので敷いてもいいかも(苦笑)

④レシピはシンプルに。朝ごはんは毎日同じで良い

散々述べましたが、あれもこれもいろいろな物を作る必要はありません。お米を炊いて、旬の食材をこだわりの岩塩で炒めてみたり、塩麹につけてグリルしてみたり、具沢山の味噌汁を作ってみたり、納豆や卵焼き、焼き魚、お刺身、十分です。生姜焼きなどはニンニクチューブと生姜チューブを常備しておけば簡単です。朝ごはんに関してはがっつり食べたい人、食欲がないから軽くていい人個性が出るところだと思いますが、自分にとって一番調子がいい朝ごはんの形を考えたら毎日同じにしてしましょう。買い物が簡単になり選択の機会が減ることにより脳の負担も減ります。サプリメントも上手に使ってみましょう。

⑤おぼんの活用と後片付け

無印良品などの木のおぼんはとても便利です。キッチンからお料理をテーブルに運ぶおぼんの役目といただく際にはランチョンマットの役割りをこなします。いただいた後もそのまま流しに持っていけば後片付けも簡単です。また、流しに洗い物がたまってしまうことってよくありますよね。考えるに、食後はお腹がいっぱいなり副交感神経が優位になっている状態。そこでまた洗い物をしたりお片付けをしたりすることで交感神経に切り替わることがしんどい、、、手も濡らしたくない、、、後でまとめてやればいいか。。。ついつい溜め込んでしまう方は、こんなメカニズムでが働いているのではないかと思います。そして、これを解決するかもしれない方法にもお盆作戦は有効です。お料理をした直後、使ったお鍋やフライパンなどはさっと洗ってシンクを空にしておけば、食後に運んだお盆の上の食器くらいはササっと洗えそうじゃありませんか?とにかく食後に面倒臭いことは残さぬよう、事前にシンプル料理をしながら調理器具は洗ってしまっておくことが大切です。水切りカゴのの食器も乾いたらすぐに定位置に戻しましょう。食器の種類が少なく仕舞いやすいと思いの外お片付けできますよ。

以上ざざっとシンプルキッチンの必要性と作り方をまとめてみました。水回りはきれいにしておくことに越したことはありません。是非、余計なものは捨てて必要なものを丁寧に大切に使い込んでいきましょう。そして、ご自身の直感で本当に大切なものを選び取っていってくださいね。

<参考図書>

村上祥子,頑張らない台所,大和書房,2018