就労移行支援事業所とは?

まずは、就労移行支援事業所とはどのような場所なのかについてご説明いたします。

就労移行支援事業所って聞いたことありますか?

今この言葉を初めて聞いた方も意識に上がってこないだけで、きっと駅前のオフィスビルの看板などでチラホラ目にしていると思います。それくらいこの事業所は、知る人ぞ知る施設だけれども実際は街の中に最近たくさん開設されている施設なんですよ。


では、早速この事業所についてご説明いたしますね。端的にいうと、

就労移行支援事業所とは「就職を希望する障害のある方に対して、働くために必要な知識や能力向上のための訓練を行い、適性にあった職場探しから就職のサポート、そして就職後の職場定着支援を行う場所」で、働くための学校のようなところです。

一般的に対象となる方は、身体・知的・精神・発達・高次脳機能障害、あるいは難病の方で「就労を目指している」方。(一般的、としたのは各事業所で利用受け入れ対象が異なっていたり、特定の分野に特化した事業所もあるためです)

また年齢制限があり、入所時65歳未満の方が対象です。

例えば

障害をもちながらも、

「少し状態が良くなってきた。また仕事に戻れそうかな?」

「働いてみたいけど自分が何に向いているかわからない・・・」

「障害を理解してくれる場で働きたいな」

「精神科デイケアで生活リズムも整い体力もついてきた。人と話すことにも慣れてきた。そろそろ次のステップに進もうかな?」

「一人で就職活動をするのは不安」

「また仕事を続けられないんじゃないだろうか・・・」

「自分のことを分かってくれる人にサポートをしてもらいながら、スキルを取得したい」

という状況の方を、各事業所のスタッフさんたちが全力でサポートしてくれるという施設なのです。

 

気になる利用料金も「障害者総合支援法」という法律が定める事業所であるため、前年度の所得に応じて変動はするものの、各自治体の補助により大半の方は自己負担なく通所されている方がほとんどです。(詳しくはお住まいの市役所の障害福祉課へ問い合わせてみましょう)

事業所によっては、交通費の補助が出たり、ランチが無料もしくは低価格で提供されたりしています。


では次に

「ふ〜ん。そういう施設なんだ。それがあちこちのオフィスビルにあるのは分かった。でもそれぞれの施設で何が違うの?どこに行ったらいいの?」

という質問にお答えしますね。

まず世の中にたくさんの種類の就労移行支援事業所が存在する理由としては以下の3つが考えられます。

  • 各事業所は民間会社が運営していること。

デイサービス事業所・アパレル・IT・塾・飲食・銀行・ゲームメーカー・美容など多種多様な企業が自前分野のノウハウを活かし就労移行支援事業所を立ち上げています。ゴールである就労のフィールド目線と福祉を融合させ、個性的なプログラムを展開させています。施設によっては、訓練後入社試験はあるものの運営している母体企業にスライドして就職することが可能な施設もあります。また、福祉に特化していて利用可能対象者の幅が広く、豊富な支援実績やコーチングのノウハウを持っている施設もあります。

  • 障害それぞれに専門的な支援方法があること。

初めに書きましたように、就労移行支援事業所という枠組み自体が対象とする障害や難病の幅が広いため、1箇所の施設で常時全ての障害や難病に対して適切な支援をすることは容易ではありません。そのため、それぞれの事業所が専門性を出すことで地域を包括的にカバーしています。

  • 職業の種類・働き方の選択肢が多様化していること。

インターネットの普及により、必ずしも会社に行かなくては仕事ができない時代は終わりました。またパンデミックによりリモートワークの市民権が急速に拡大しています。お店も路面店とオンラインショップが肩を並べる時代。しかし、実際に現場に赴かなくてはいけない仕事も消えることはありません。資格の種類も数え切れないほど、、、。故に、多種多様な就労移行支援事業所が存在することは、利用者さんが学べるスキルの選択肢が増えることに寄与しているといえます。

 

ここまで聞くと、なんて至れり尽くせりの施設なんだろう!と思いますよね。本当にたくさんの人の知恵と温かい思いで運営されています。

しかし、、、そうなんです。手放しで喜べるわけではなく、しっかりと2年の利用期限があるのです。

いつまでも無制限にサポートします!では就活を先送りにしてしまい、ダラダラしてしまうことにつながりますのでこの制限は必要なこととは思いますが、これは利用の際に注意しなくてはいけないポイントです。

ご自身にあったタイミングで、ご自身にあった就労移行支援事業所を見つけることがとても大切なのですね。

そのためには

主治医と相談しながら、しっかり見学・体験をして納得した上で開始することが大切です。施設やスタッフさんの雰囲気、交通事情などの情報収集ももちろん大切ですが、

  • その施設で体験できる訓練が本当に自分に必要なものか。汎用性はあるものか。
  • 出口戦略がしっかりしている施設か。
  • 生活リズムをつけるプログラムの比重が大きすぎて、結果的に訓練を受ける期間が短くなってしまうことはないか。(生活リズムが不規則だったり自信がまだない方は、精神科デイケア・B型作業所などからスタートし、体力がついてきてから就労移行支援事業所の利用を開始することも一つの方法かと思います。就労移行支援事業所だからこそ体験できる支援を受けて、ご自身の一生ものの力にしていきましょう。)

 


最後に、就労移行支援事業所利用までの一般的な流れを見てみます。

①ご自身のお家から通える範囲の就労移行支援事業所のホームページをチェックしてみましょう。現在かかりつけの病院に精神保健福祉士などが在籍していたら相談するのもいいと思います。パンフレットが病院に置いてあるかもしれませんね。他にはハローワークでも相談に乗ってくださいます。

②気になった就労移行支援事業所へ電話かメールで問い合わせてみましょう。電話で問い合わせる際は事前に聞きたいいことをリストアップしたメモを用意しておくといいです。(例えば、、、どういった人が対象ですか?お弁当はつきますか?交通費の補助は出ますか?今は何人くらいの人が在籍中ですか?などなど)。現実的な条件でしたら施設見学日の調整に移ります。

③施設見学では実際に通えそうかシュミレーションしながら行ってみてください。いつも穏やかな天気ばかりではなく、夏の暑い日、冬の寒い日、雨が降る日もあります。その辺も考慮に入れてシュミレーションできるといいと思います。ただ、駅から少し歩く就労移行支援事業所でもデメリットばかりではなく、通い続けることで体力がつきそれによって就労先の幅が広がるメリットもあると思います。施設では、雰囲気や設備、スタッフさんや実際の様子を見て肌で感じてきましょう。お手洗いや休憩室、お弁当が出ない施設では近くにコンビニはあるか?なども確認しておくと安心です。

④見学をしてみて好感触でしたら、体験利用に移ります。体験の回数などは施設によって違うので確認してみてくださいね。体験後、施設のスタッフさんが現状や就職の希望、利用についてお話をして聞いてくださいます。

⑤利用の意向が決まったら、お住まいの地域の市役所に「障害福祉サービス受給者証の申請」を行います。このプロセスは利用予定の就労支援事業所の方がフォローしてくださいます。

⑥サービス利用の支給が決定されると、障害福祉サービス受給者証が交付されることとなりご自宅に郵送されます。

障害福祉サービス受給者証をもとに就労移行支援事業所と契約をして利用開始となります。


どうでしたか?

就労移行支援事業所がどのようなところなのか、利用するまでのロードマップはどのようなものなのか、がなんとなくお分かりになりましたでしょうか。

就労移行支援事業所 選び方のポイントのページでは、多くの個性的な就労移行支援事業所からどのようなポイントに着目して選べばいいのか?についてまとめましたので、ご興味のある方はご一読いただければと思います。